FCZ基板をご存知でしょうか? そのむかしJH1FCZ 大久保OMが作られた基板で、ベースとなる基板をベタアースとして使う、そこに貼り付けて使うものでした。10mmのコイルにも適した幅になっていて、ちょっとした回路を作るのに適しています。IC用のパターンとか幾つかバリエーションも有りました。FCZ誌が公開(続きもある)されているので基板が出てきた号のリンクを貼っておきます。2ページ目の実験用万能基板が説明です。
http://momo.gmobb.jp/fcz_ac1/1975年/5may1975.pdf
今は自分で安く基板を作ることも容易になってきましたが、ちょっとした実験にはFCZ基板のようなものが便利です。ただ最近はコイルも7mmが多いかと思います。
そんなことからオリジナルより寸法を小さくした基板を作ってみました。多くの基板屋さんは10cm角だと安く作ってくれるので、5cm x 1.25cmで16枚の基板として設計しています。
下になっているのがオリジナルの基板です。またコイルも左が7mm、右が10mmなので、大きさの差が分かるかと思います。
片面でも両面でも同じ価格なので、裏面にベタを入れてあります。また端になるところはレジストを抜いておきました。

オリジナルに入っていた説明書の図、たぶん2SK241を使った回路ではないかと思います。FCZ誌で最初に出てきたのは、このあたりでしょうか?ただ実態配線図とは合いません。
ということで、実態配線図を元にした回路で再現してみました。今も入手できるとは言え、製造中止になって久しい2SK241ではなく、BF256Bを使っています。またFCZコイル互換の7mmコイルはサトー電気で扱っているものを使いました。(従来のFCZ基板もサトー電気で売ってます)
写真から分かるよう、エッジに取り付けるタイプのSMAコネクタも安く入手できる(性能は知らないが接続の切り替えには使える)ので、これを取り付けやすいようにしている。
ただ今回の回路例のように上か下の片方は電源にしたいことも多いハズで、その場合にはセンタではなく1つ隣に芯線が来るように取り付ける必要があります。

2SK241はデプレッションタイプだったので、ゲートの電圧は0Vで良かったのですが、BF256Bはエンハンスメントタイプなのでバイアスをかける必要があります。
ちゃんと計算してバイアスを決めるべきですが、とりあえず1Mと100kで分圧してかけたところ16dBほどゲインが取れていました。今回の目的は製作例の回路を作って動かすことだったので定数は追い込んでいません。
もし実用として作る人はゲートにかける電圧とか、ソースに入れる抵抗(こちらも設計せず220を今回は使用)をチューニングする必要があります。セラミックコンデンサは全て1000pで電源ラインのパスコンは0.1uです。
下図が実際の特性で、ちょっと消耗していて8.6Vぐらいしか出ていない006Pの乾電池を電源にして動かしたものです。

試作用に作ってみたのだが、試しに回路を組んで分かったのは、もう少しランドが大きくないと、ピンセットを使って組むことが必須で、ちょっと作業性が悪い。
あと裏面のベタと、コネクタを付けた端は接続を考慮してあったが、途中についてはランドを設けてなかったので、レジストを削る必要があった。
今回のプリアンプだと横のランドが1つ減っても大丈夫なので、配線部分は7つから6つに減らし、裏面の各ランドのところでレジストを抜くと良い。
もし同じような基板を作ってみようという方がいたら参考にして欲しいと思い書きました。